原子力規制委員会は11月16日の定例会で、現在最長60年とされている原発の運転期間に関する制度変更が経済産業省の審議会で議論されていることを受けて、それに対応した安全規制変更案について議論しました。しかし、委員から「時期尚早」との意見もあり、運転期間に関する経産省の結論後に、改めて議論することになりました。
規制委は今月2日、「運転期間に関する定めが原子炉等規制法から他法令に移される場合」も想定し、運転期間を変更した場合の対応方針案を議論。
案では、老朽原発に対する劣化等を踏まえた規制の起点を運転開始後30年とし、10年を超えない時期ごとに、劣化評価などの実施を義務づける方針を確認しています。しかし、経産省の審議会では運転期間について変更なしも含む3案が示されており、結論は出ていません。
16日の会合では、事務局の原子力規制庁が2日の議論を踏まえ、新規制基準に“合格”していない原発の扱いなどの検討案を提示。同案が規制委に了承されれば、事業者から意見聴取するとしていました。
しかし、石渡明委員が、利用政策側の案が決まっていない段階で事業者から意見聴取するのは「時期尚早だ」と述べ、「現時点では了承しない」と表明。他の委員からも「前のめりという印象を与えかねない」などの発言がありました。
このため検討案について経産省が検討している運転期間に関わる制度の内容確認後に改めて議論することになりました。
原発の運転期間については、岸田文雄首相が8月、運転期間の延長を含む原発推進方針を打ち出し、年末に具体的な結論を出せるように指示。資源エネルギー庁は法律の改定を含めた措置の検討を表明しています。規制委は、原発の運転期間に対して「意見を述べる立場ではない」などと容認しています。
(「しんぶん赤旗」2022年11月17日より転載)