東京電力福島第1原発事故の賠償などの費用をめぐり会計検査院は7日、国が東電に資金援助するための交付国債枠13・5兆円の回収が最長で42年後の2064年度までかかるという試算を明らかにしました。4年前の試算の最長51年度から13年延びました。
国が援助した資金は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構が負担金として東電や他の電力会社などから回収します。
試算は、東電が支払う特別負担金について21年度分(400億円)の額が次年度以降も引き続くと仮定し、東電株の売却益が1100億円にとどまる場合を計算したもの。
政府は16年、事故の廃炉や損害賠償や除染などの事故費用が21・5兆円と試算。
検査院によると、21年度までの支払額は、国債の発行で対応する費用として被災者賠償が7兆1472億円、除染費用が2兆9954億円、中間貯蔵施設費用が2682億円の計10兆4110億円となったとしています。また、東電が資金を確保するとされる廃炉・汚染水・処理水対策に関連した費用は累計で1兆7019億円となっていました。
検査院が負担金について調べたところ、電力各社が支払う一般負担金は17年度から19年度まで総額1630億円でしたが、21年度は総額1337億円に減額。東電が支払う一般負担金と特別負担金のうち、特別負担金は17年度分が700億円、18年度~20年度の各年度分が500億円、21年度分が400億円と減っています。
検査院は、特別負担金の減額について「法令の基準を満たしたものであるかについては、必ずしも明らかでなかった」としています。
(「しんぶん赤旗」2022年11月10日より転載)