原子力規制委員会は11月2日の定例会で、最長60年とされている原発の運転期間が延長された場合に対応した安全規制の変更案について検討を開始しました。東京電力福島第1原発事故を踏まえたルールがなくなることで、老朽原発を動かし続けることになりかねません。
この問題をめぐり岸田文雄首相が8月、原発の運転期間の延長を含む原発推進方針を打ち出し、年末に具体的な結論を出せるように指示。これを受け資源エネルギー庁は法律の改定を含めた措置の検討を表明しています。一方で規制委は、原発の運転期間に対して「意見を述べる立場ではない」などと容認しています。
福島第1原発事故後に改定された現在の原子炉等規制法では、原発の運転期間は運転開始から原則40年とされており、規制委が最長でさらに20年の延長を1回だけ認められるとなっています。
この日の検討状況の文書では「運転期間に関する定めが原子炉等規制法から他法令に移される場合」も想定しています。
今回の案では、運転期間延長認可の制度と、運転開始から30年を超える原発について事故前から義務づけられている「高経年化技術評価」を統合します。技術評価は、30年以降10年ごとに長期施設管理方針の認可が必要です。
統合案は、老朽原発に対する劣化等を踏まえた規制の起点を運転開始後30年とし、10年を超えない時期ごとに、劣化評価などの実施を義務づけます。また、延長期間の劣化を考慮した「長期施設管理計画」の策定が義務づけられ、規制委の認可が必要です。具体的な認可基準は今後、規制委で検討します。
(「しんぶん赤旗」2022年11月3日より転載)