原発延長 対応検討へ・・規制委 エネ庁聴取受け指示
原子力規制委員会は10月5日の定例会で、資源エネルギー庁の担当者から同庁の審議会で最長60年とされている原発の運転期間延長に関した議論を聴取し、延長された場合の安全確認のための必要な検討を事務局の原子力規制庁に指示しました。
原子炉等規制法で原発の運転期間は、運転開始から原則40年とされており、規制委が最長でさらに20年の延長を1回だけ認められるとなっています。岸田文雄首相は8月、原発の運転期間の延長を含む原発推進方針を打ち出し、年末に具体的な結論を出せるように指示。これを受け、エネ庁の審議会は運転期間のさらなる延長などについて検討しています。
定例会でエネ庁の松山泰浩電力・ガス事業部長は、運転期間について「利用政策として運転期間の見直し、延長について検討しなくてはならない。必要に応じて法的な措置を講じなくてはならない」と表明しました。
規制委からは山中伸介委員長が「経年化が進めば進むほど、(規制基準の)適合性の立証は困難になる」と発言。他の委員からも「設計のコンセプト(基本理念)が古くなっているのをどう見るか」などの意見が出ました。
しかし、規制委は、原発の運転期間見直しの審議会の議論に「意見を述べる立場ではない」などとして容認。その上で、山中氏は「高経年化(老朽化)した発電炉の安全性をどう確認していくのか。法的に担保するのか」の検討を規制庁に指示しました。
廃炉資金の確保 認可法人設置へ・・経産省中間報告案
30年から40年程度かかるとされる通常の原発の廃炉について経済産業省の作業部会は5日、燃料費高騰の影響などで電力会社の経営状況が悪化しているとして、国の関与・監督の下で廃炉に必要な資金を確保するために認可法人を設置する中間報告案をまとめました。今後、同日の部会で出された意見をもとに修正し、一般から意見を公募します。
原発の廃炉は電力会社などの事業者の責任で終えることが法律で定められています。
廃炉に必要な資金について現行制度は、事業者が解体費用の「総見積額」をあらかじめ算定し、毎年、引当金として積み立てています。案では、事業者が必要な資金を拠出金として認可法人に納付。事業者が廃炉を行う際に同法人が支払う仕組みにします。認可法人は既存の認可法人を活用する方向です。国は、法人の事業継続が困難になれば「適切な措置を講じる」としていますが、その内容は示していません。
国内で廃炉が決定された原発は東京電力福島第1原発を除いて18基です。通常の原発の廃炉は核燃料の搬出から周辺設備の解体、原子炉の解体、建屋の解体などの段階があります。しかし、解体に伴って発生する制御棒や炉内構造物などの放射性廃棄物の処分先は決まっていません。
(「しんぶん赤旗」2022年10月06日より転載)