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国は安全確保怠った・・津島原発訴訟控訴審 原告側が指摘

横断幕を掲げ「ふるさとを返せ」と訴える原告ら=28日、仙台市

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域に指定された福島県浪江町津島地区の住民ら631人が国と東電に対し、除染による原状回復と、慰謝料計155億円などの支払いを求めた津島原発訴訟控訴審の第1回口頭弁論が28日、仙台高裁(石栗正子裁判長)で開かれました。

 事故に関し、先に行われた全国四つの原発集団訴訟の上告審で最高裁が6月、国の行政上の規制権限の不行使について、責任がないとする判決を示しました。

 この日の弁論で住民側の弁護士が、最高裁判決の誤りや除染の必要性を主張しました。国が安全規制権限者として安全確保義務を負うにもかかわらず、重大事故対策や津波対策などを怠ってきたと指摘。事故以前から原発の不備が明らかになるなかで「国が設置許可処分を取り消していれば本件事故の発生は避けることができた。国家賠償法上の責任を免れない」と述べました。

 原告の武藤晴男さん(65)=郡山市=が意見陳述しました。東電と国の“安全神話”を信じていたのに「11年前に見事に裏切られた」と悲痛な思いを語り、「私の愛した家は、私たちのふるさとは今でも津島の藪(やぶ)にひっそりとたたずんでいます。どうぞ見に来てください。そして、私たちが希望を持てる判断をしてください」と訴えました。

 控訴審に先立って開かれた集会には、他の原発避難者の原告らが応援に駆けつけ、連帯と激励のメッセージを寄せました。また、公平な判決を求める署名を新たに1万964人分提出しました。

 津島訴訟の福島地裁での1審判決は、国、東電の賠償責任を認めましたが、山林を含む除染を求めた原状回復請求は却下されました。

(「しんぶん赤旗」2022年9月29日より転載)