東京電力福島第1原発事故と福島の今をテーマに、昨年名古屋市で初演された、子どもとおとなでつくるミュージカル「バックトゥザ・フーちゃんII」が10月9日に福島県二本松市で公演されます。主催は同ミュージカル福島公演実行委員会と「愛知子どもの幸せと平和を願う合唱団」。
劇は、原発のある町の子どもたち(フーちゃんズ)が過去にタイムスリップし、原発誘致反対を訴えた前作(2013年初演)の続編。成長した子どもたちが住民の戻り始めた福島を訪れ、新たな子どもたち(ユーちゃんズ)も原発について学び始めます。おとなに近づく若者と育ちゆく子どもたちが、「未来」をつなぐために奮闘します。
11年たつ今も除染が進まず帰れない故郷、それでも前に進む人びと―。現地の人びとから学び、その怒りや悲しみ、願いに寄り添い、「福島の今」を伝えます。
清水則雄団長は「福島の人びとは原発、汚染処理水、除染と、多くの不安から帰りたくても帰れない。福島の問題は私たちみんなの問題。私事として考えていくために、福島の現状を知らなければならない。その一助になれば」と語ります。
19日には約50人の子どもとおとなが、通し練習を行いました。ユーちゃん役の高木明日葉さん(14)は「被災した人の思いを全て理解することはできないけど、できるだけ理解して、それを伝えたい」、福島に戻ったフーちゃんズの仲間・ノンちゃん役の髙橋歩さん(17)は「現地の人に寄り添う演技ができたらと思う。津波や地震の怖さとともに、星空や山並みなど福島のすてきな所も伝えられたら」と話しました。
公演成功に向けて、合唱団は「450万円賛同募金」に取り組んでいます。19日現在、約200万円が寄せられています。詳細は合唱団ウェブサイトで。
津島訴訟の原告・三瓶(さんぺい)春江さんは「原発事故で苦しみ、ふるさとを奪われた悲しみを自分たちが伝えなければならないと言って、私に勇気と喜びをたくさん与えてくれた子どもたちの思いを、感動を、私だけでなく多くの皆さまに見て感じていただきたいと思っています」とメッセージを寄せています。
◇10月9日(日)午前11時、午後3時開演。二本松市安達文化ホール。前売り券2000円、高校生以下・障害者1000円。問い合わせは合唱団藤村さん0561(58)4351。
(「しんぶん赤旗」2022年9月25日より転載)