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首相、核禁条約触れず・・NPT再検討会議 原発推進も表明

 米ニューヨークの国連本部で開かれた核不拡散条約(NPT)再検討会議に日本の首相として初めて出席した岸田文雄首相は1日(日本時間2日未明)に演説し、中国を念頭に、核兵器国に対し「核戦力の透明性の向上」を呼びかけました。一方、史上初めて核兵器を違法化した核兵器禁止条約には一言も触れませんでした。「原子力の平和利用」と称して原発推進も表明しました。

 首相は英語で演説。ロシアのウクライナ侵略で核による威嚇があったことに触れ、「核兵器のない世界への道のりは一層厳しくなっている」としつつ、「諦めるわけにはいかない」と表明。その上で「核兵器のない世界」という「理想」と「厳しい安全保障環境」という「現実」を結び付けるための「現実的なロードマップ」と称して、(1)核兵器不使用の継続(2)核戦力の透明性向上(3)核兵器数減少傾向の継続(4)原子力の平和利用(5)被爆の実相の認識の共有―の五つの柱からなる「ヒロシマ・アクション・プラン」を提唱しました。

 このうち、「核戦力の透明性向上」では、高濃縮ウランなど核兵器用核分裂性物質の生産状況に関する情報開示を主張。核物質の生産抑制に反発する中国が念頭にあるとみられます。

 「原子力の平和利用」では、ロシアによるウクライナの核関連施設攻撃を非難した上で、「原子力の平和利用は原子力安全とともに進める。(日本は)内外の安全性基準に従った透明な取り組みを進める」として、原発の稼働推進を表明しました。

 首相は、(1)包括的核実験禁止条約(CTBT)発効に向け、9月の国連総会に合わせてCTBTフレンズ会合を首脳級で主催(2)核軍縮を議題とした「国際賢人会議」を11月23日に広島で開催―すると表明しました。

(「しんぶん赤旗」2022年8月3日より転載)