原子力規制委員会は10月30日、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)4号機の使用済み燃料プールから燃料を取り出すための実施計画を認可しました。現在、規制委による使用前検査が進められており、11月中旬から燃料の取り出しが開始される見通しです。
4号機は2011年3月の事故発生時は定期検査中で、原子炉内の燃料は全てプールに移されていました。同年3月15日の水素爆発によって原子炉建屋上部が大きく崩壊。燃料プールは建屋上部に位置するため、補強が施されましたが、耐震性が懸念されていました。また当初、冷却のために注水した海水による腐食が心配されています。
昨年(2012年)7月に、未使用の燃料集合体2体を試験的に取り出しています。現在、プール内には使用済みと未使用の燃料集合体1533体が冷やされています。
計画では、建物上部に新設されたクレーンなどを手動で操作し、燃料集合体を1本ずつプール内からつりあげて取り出し、移動用の専用容器に入れ、敷地内にある別棟の共用プールに移送し保管します。
規制委は、燃料の取り出しが困難な場合やプール内のがれき撤去の安全対策などを認可しました。規制委の更田(ふけた)豊志委員は「長い期間の作業になる。場面場面に応じて監視したい」と述べました。
東電の計画では来年末に取り出しが完了する予定です。
手動操作どれほど習熟?・・規制委検討会 専門家から疑問
東京電力が11月から始める福島第1原発4号機の使用済み燃料プール内の燃料取り出しについて、10月30日開かれた原子力規制委員会の検討会で、専門家から疑問や意見が出されました。
4号機は水素爆発で原子炉建屋上部が崩壊し、プール内にがれきが落ちるなどしたため、燃料を安全に取り出せるかが課題になっています。
専門家からは、水中から燃料集合体をつり上げて取り出す際、何らかの原因でひっかかった場合の模擬試験を実施していないことへの疑念や、過去のトラブルを踏まえた対応をしているのかという指摘があったほか、自動操作の取り出し装置に慣れた人間が、手動操作にどれほど習熟しているのか、気になるという疑問も出ました。東電は「人数を増強し、教育訓練している」と述べました。
また検討会では、政府の汚染水対策についても専門家から意見がありました。
政府は320億円を投入して、地下水流入抑制対策として陸側で凍土方式による遮水壁を造る計画を進めています。経済産業省資源エネルギー庁が「遮水壁を造るまでが国で、維持は東電の負担」と説明したことに対し、専門家は、維持費用もわからないうちに計画を進めるのは「見込みが甘い。サスク(危険)が大き過ぎる」と批判しました。