東京電力福島第1原発事故の賠償金にあてる原子力事業者が支払う一般負担金について、事業者の負担額が2021年度に前年度と比べて計約293億円減額されていたことが分かったとNPO法人「原子力資料情報室」が4日、発表しました。
福島第1原発事故の賠償金は東電が被害者に支払いますが、政府が出資する「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」が東電を支援しています。同機構に対して沖縄電力を除く9電力と日本原子力発電、日本原燃が、一般負担金、特別負担金(東電のみ)として納付する仕組みです。13~19年度の各年の11社の一般負担金は計約1630億円でした。20年10月から、福島原発事故の賠償費が増大したことで、原発を持たない新電力の利用者も負担する送電線の使用料、託送料金に上乗せして回収する仕組みが導入されました。20年度には、事業者負担は前年度と変わりませんでしたが、託送料金から回収した305億円合わせて、1935億円が一般負担金として同機構に支払われました。
ところが21年度は、消費者負担分である託送料金から610億円を集めながら、事業者負担分は前年比293億円減額の1337億円となり、一般負担金は1947億円でした。
会見した原子力資料情報室の松久保肇氏は、国が交付した資金の利子は国の負担となっていることから、減額で回収期間が長くなれば、利息が増えて国民負担が増えると指摘。「国民負担を強いながら、原子力事業者の負担を軽減したことが許されるのか」としています。
(「しんぶん赤旗」2022年7月6日より転載)