避難者 新たに提訴へ・・原発賠償訴訟 最高裁判決受け
福島で会見
東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた訴訟の最高裁判決(17日)で国の責任を認めなかったことに批判が強まるなか、原告・弁護団が21日、福島市で記者会見し、9月に新たに提訴すると表明しました。
最高裁第2小法廷の判決は、裁判官4人のうち3人の多数意見で、1人の反対意見がつきました。
「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟弁護団事務局長の馬奈木厳太郎弁護士は「マスコミ報道の中に『国勝訴』の見出しはない。(3人の多数意見は)内容に乏しく、論点の判断から逃げるうっちゃりみたいなものだった」と批判しました。
一方、三浦守裁判官の反対意見については「約30ページにわたり、すべての論点についての検討・判断を示しており、体裁と内容ともに実質的な『第2判決』といえるものです」と強調。「多数判決は問題が多く、早期に見直さざるをえなくなる」と指摘しました。
同席した群馬訴訟原告の丹治杉江さんは「この判決では避難者にとって希望が見えません。対策をとれば、こんな過酷事故は起きなかった。あきらめず訴えていきたい」と発言。千葉訴訟の瀬尾誠さんは「原発を動かし続けることが本音だと思った。納得できない判決です」と語りました。
原発の安全性説明を・・科学者・技術者の会が質問書
東海第2めぐり
原子炉技術者や研究者などでつくる「東海第二原発地域科学者・技術者の会」は21日、日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の安全性について、原電に説明を求める「質問書」を県原子力安全対策課に提出しました。
「会」のメンバーらは、原発の運転で飛び交う中性子線による原子炉の劣化を指摘。▽圧力容器を構成する6枚の鋼板から試験片を取り出さないといけないところ、1枚のみを試験の対象としており老朽性を正しく把握していない▽劣化しているはずの圧力容器の試験片について、原電が認めていない―ことなどをあげ、原電に説明を求めています。
提出後の会見で、日立製作所で原子炉の設計に従事した服部成雄さんは「試験のやり方に問題があり認識を共有したい。技術者としての素朴な疑問だ」と強調。日本原子力研究開発機構に在籍した日本共産党の花島進市議は「(原電の評価では)危なくて認められない。きちんと回答を求めたい」と話しました。
同原発をめぐっては、県が独自のワーキングチームを主催し安全性の検証を進めており、大井川和彦知事は同会合での審議を再稼働の前提にしています。今回の「質問書」は、ワーキングチームを通じて原電に回答を求めているものです。
(「しんぶん赤旗」2022年6月22日より転載)