衆院原子力問題調査特別委員会は8日、原子力規制について参考人質疑を行いました。
意見陳述で独協医科大の木村真三准教授は、福島県での除染について、山間部などは植物がセシウムを吸収し落葉するため効果は限定的だと指摘。チェルノブイリでは原発事故後30年以上経過しても甲状腺がん患者が増えており、「影響は長期にわたる」と強調しました。また、原子力規制委員会は環境と人体への影響を議論すべきだが、自然災害や戦争など重大事故時の避難計画を適合性審査の対象に組み入れていないとして「中立性と市民性を満たしているか疑問だ」と批判しました。
龍谷大学の大島堅一教授は、東京電力福島第1原発の廃炉・デブリ取り出し期間を示した中長期ロードマップは30~40年と見積もるが、厳しく見積もると170年かかるという推計を示し、費用も莫大(ばくだい)だと指摘。ロードマップの見直しを求めました。
笠井亮議員が、島根県知事が島根原発2号機の再稼働に同意(1日)したことに関連して、重大事故時の住民避難について見解を求めると、木村氏は「安全な避難は不可能だ」と答えました。
東電の電気料金請求書に原発コストの記載がないことへの意見を求めると、大島氏は、政府の試算は23・8兆円で多くが国民負担だが「今後どれだけ増えるかわからない」「総額費用を広報すべきだ」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2022年6月20日より転載)