東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質を含む汚染水を海洋放出する政府の計画をめぐり、不安が広がる福島県いわき市。国民の命と安全を守るため、「海洋放出やめよ」「被災地の水産業に支援を」と追及する日本共産党と、いわぶち友参院議員・比例候補に期待が寄せられています。(高橋拓丸)
いわき市沖の海は、寒流と暖流が交わる「潮目の海」とも呼ばれ、さまざまな魚がとれる漁場でした。
いわき市漁業協同組合は六つの漁港を擁しており、近年は海が荒れると港に大量の砂が流れ込み、水深が足りず出航に大きな支障をきたしています。特に被害が大きい勿来(なこそ)支所の芳賀文夫支所長は、汚染水の海洋放出について「ただでさえ砂で困っているのに…」と話します。
「処理水(汚染水)を海に流して被害が出た後から補償されても仕方がない。海は漁師だけじゃなく買い受け人とかいろんな人が関わっている。いわぶちさんには、影響が出ないよう頑張ってほしい」
いわぶち氏と高橋千鶴子衆院議員、紙智子参院議員は2日、農林水産省で震災被災地の漁業・水産業の危機打開へ向けた要請9項目を金子原二郎農水相に提出。いわぶち氏は福島県の水揚げが震災前の2割程度になっていると強調し、「(汚染水には)海洋放出でないやり方、これ以上増やさない対策こそ必要です」と訴えました。
いわき市内の別の漁港で、軽トラックからおりてきた漁業者の男性(70代)は、「原発の水を流している海で、誰が新たに漁師を継がせたいと思う? 浜の未来がなくなるばかりだ」と憤ります。日本共産党の、経営が悪化する漁業者への支援策や原発汚染水海洋放出中止を求める申し入れ内容を知らせると、男性は「いいね。全部実現してほしい。こういうことを言えない人は応援したくない」と応じました。
いわぶち氏 国会で追及
いわぶち氏は5月の参院震災復興特別委員会で、「処理水は安全基準を満たす」などとしたチラシを政府が学校現場に送りつけたことを追及。4000万円もの税金が使われたことを明らかにし、「漁業者の反対の声や懸念を聞かずに海洋放出を強行してはならない」と批判しました。
丸本ゆみこ比例候補の全県キャラバンがいわき市に入った7日。ショッピングモールに向かう道中で丸本候補の演説を聞いていた吉田徹さん(59)は、「いいことを言ってると思います」と感心しながら、「共産党は(議席の)数だけが不安なので、今回頑張って増やしてほしい」と期待を寄せました。
いわぶち氏の質問を紹介すると、「そんなところ(チラシ)に予算を使うなら、そもそも海に流さないでほしい。私たちが何かしたわけじゃないのに、福島県の印象をこれ以上悪くしないでほしい」と語りました。
(「しんぶん赤旗」2022年6月16日より転載)