きょうの潮流

 2年以上にも及ぶコロナ禍で家飲みが増えているとか。日本酒派、焼酎派、ワイン派とさまざまですが、何でも派の筆者は、この時期、日本酒の蔵元が一押しする生酒が楽しみです▼酒蔵数トップの県は新潟で89あります。74の長野が2位、69の兵庫が3位、63の福島が4位と続きます。いずれも米どころであり湧水と温泉が豊富な土地柄。酒造用水としての良質で大量の地下水が決め手です▼「東京電力も政府も、福島の豊富で複雑な地下水の流れや地質を軽視したまま、原発を立地し、汚染水の対策を続けている」。原発をなくす全国連絡会の学習集会で告発したのは柴崎直明福島大学教授です。地下水や地質を専門にする地学団体研究会の福島原発グループの一員です▼放射能汚染水は、主に地下水や雨水が核燃料デブリなどに触れて発生します。なので、地下水を原発建屋に近づけさせなければ汚染水は増えません。「効果は限定的」と東電自身が認める地下水バイパスや凍土壁に代わる「抜本的な対策を東電や政府に提案している」と柴崎氏▼建屋周辺の井戸(サブドレン)の増強による地下水管理。山側から流れてくる地下水や、建屋敷地内の地下水を遮水する地中壁(広域遮水壁)、地下ダム(集水井)で地下水をためようというものです。工務店などでもできる工法です▼“聞く力”を自慢しながら、岸田政権は先に結論ありきの姿勢です。汚染水をどうするのか。海洋放出に固執するのではなく、知恵を出し尽くすことこそ肝心です。

(「しんぶん赤旗」2022年6月14日より転載)