福井県美浜町の関西電力美浜原発3号機の蒸気噴出死傷事故で、経済産業省原子力安全・保安院は十三日、電気事業法などに基づき同原発への立ち入り検査を行った後、記者会見。破損した二次系配管の最も薄い部分は、これまで関電が説明していた一・四ミリの半分以下の〇・六ミリで、二カ所確認されたことを明らかにしました。配管が破損した際に、引き伸ばされて生じた可能性もあるといいますが、関電発表の信頼性に疑問を投げ掛ける結果となりました。
会見した片山正一郎審議官によると、破損した炭素鋼製の配管は、一部が上にめくれ上がっており、中央部付近に肉厚〇・六ミリの所が約二十センチ離れて二カ所ありました。そばには約三センチの亀裂も認められたといいます。
片山審議官は、この二カ所について「(摩耗によって)そのような厚さになっていたのか、破損した時に引っ張られて薄くなったのかは、これからの解析が必要」としています。関電はこの配管について、設置当初は約十ミリの肉厚があったとしています。この日の検査では、超音波による配管の肉厚調査や表面の詳細な観察を実施。発電所長ら関電職員十五人から、検査をしない状態が放置された事情などについて詳しく話も聞きました。
■関電、チェック項目確認せず
福井県美浜町の美浜原発3号機の蒸気噴出事故で、関西電力が事故発生まで、検査対象リストに点検の必要な個所がチェック項目として盛り込まれているか確認していなかったことが十三日、分かりました。
藤洋作社長が会見で明らかにしました。関電によると、検査対象リストは同社の管理指針と「スケルトン図」と呼ばれる全配管の図面に基づいて一九九〇年、三菱重工業(東京都港区)に委託して作成。点検委託会社が三菱重工業から日本アーム(大阪市北区)に変更された九六年、リストも引き継がれました。
一プラントにつき約六千のチェック項目があり、毎年の定期検査では日本アームがこの中から約四百項目を選定。点検計画書に盛り込み関電側に提案していました。
しかし、関電側は、定期検査の基となる検査対象リストのチェック項目を自社で確認せず、日本アームから提案された計画書をうのみにしていました。
一方、日本アームは昨年四月、破損個所が検査対象リストから漏れていることに気付き、新たにリストに登録。同十一月に電子メールで美浜発電所に点検を提案したものの、リスト漏れがあった事実を明記しなかったため、発電所はこれに気付かなかったとしています。