政府のエネルギー基本計画での原子力分野の方針を具体化する検討を行う経済産業省の審議会・総合資源エネルギー調査会「原子力小委員会」が28日、1年ぶりに開かれました。委員からはウクライナ情勢をめぐり、「原発に与える戦争の影響を検討するべきだ」「ウクライナの原発が占拠され、非常に危険になっていることをどう考えているのか」などの意見がありました。
この日はエネルギーをめぐる社会動向や原子力の技術開発をテーマに議論。同省事務局は、原子力の持続的な活用の必要性やそのあり方を今後の議論の論点として示しました。
松久保肇・原子力資料情報室事務局長は、ウクライナの原発が戦火に巻き込まれており「原発は戦略目標になり得る」と指摘。政府などが開発をねらう小型炉が遠隔地にちらばって存在する状況は「厳しくなった」として、原発に与える戦争の影響を検討するべきだと述べました。
村上千里・日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会環境委員長も、ウクライナの原発がロシア軍に占拠され「非常に危険になっていることをどう考えているのか。日本はどういうリスクを想定しているのか」と問いかけました。
一方、「既存原子力発電設備の再稼働はもとよりリプレース(建て替え)はわが国にとって避けて通れない」(経団連の小野透氏)などと、現行のエネルギー基本計画に明記されていない原発の新増設・リプレースを求める意見が相次ぎました。
(「しんぶん赤旗」2022年3月29日より転載)