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電力ひっ迫の裏で再稼働が見え隠れ

 政府が東京、東北両電力管内を対象に初の「電力需給ひっ迫警報」を発令した22日、テレビは、「停電の恐れ」「節電を」と大騒ぎでした。

 なかでもNHKは、画面に「政府 電力需給ひっ迫警報」という大きな文字をずっと掲げました。夜の「ニュース7」では、経済部デスクが「停電を防ぐには?」と解説。「全国的に老朽化した火力発電が多く、電力供給はすぐに増やせません」などとのべました。

 民放も「イット!」(フジ系)が、「このままでは東電管内で広範囲での停電をおこなわざるを得ない」とさらなる節電を呼びかける萩生田光一経済産業相の午後3時前の緊急会見を速報しました。

 「節電の裏に原発見え隠れ」。「朝日」24日付には、こんな川柳が載りましたが、テレビは、電力ひっ迫を口実に再稼働に誘導しているかのようでした。実際、経団連の十倉雅和会長は22日の定例会見で、原発を「速やかに稼働しないと大変なことになる」と原発再稼働を迫りました。

 23日付の全国紙も「(政府・与党は)安全性を確認した原発の早期再稼働を主導すべきである」(「産経」)、「政府は安全性が確認できた原発の再稼働を後押ししてもらいたい」(「読売」)、「安全を確認した原子力発電所を再稼働させる国の方針に沿って、再稼働を着実に進めたい」(「日経」)と、再稼働の大合唱です。

 岸田政権は脱炭素を口実に原発の「活用」を進めていますが、東電原発事故による住民避難、汚染水の海洋放出、廃炉など問題は何も解決していません。メディアは、原発再稼働に突き進むことをチェックすべきです。

 (藤沢忠明)

(「しんぶん赤旗」2022年3月25日より転載)