深夜の衝撃でした。地鳴りとともに襲ってきた激しい揺れ。停電や断水、暗闇のなか、おびえながらの避難。津波は、原発は――。11年前のあの日の恐怖がよみがえってきました▼福島県沖を震源として、宮城や福島で最大震度6強を観測した地震。東日本の広い範囲に及んだ強い揺れは大きな被害をもたらしました。死者や多数のけが人、家屋の損壊。東北新幹線の脱線や高速道路の亀裂など交通網も寸断されました▼「原発があるかぎり、つねに不安がまとわりつく」。原発事故によってふるさとを追われた人が訴えていました。今回も、福島第1、第2原発や宮城・女川原発で冷却ポンプが一時停止しました▼これまで築いてきた生活のすべてを奪い、地域の風景を一変させる大惨事を招く存在。ロシア軍によるウクライナの原発施設への攻撃をみても、人類と相いれないものを抱える恐ろしさはひしひしと▼あろうことか、いま自民党の原発推進派の議員たちが盛んに再稼働を求めています。エネルギー価格の高騰をうけ、原発の安全規制をゆるめてまで動かせと政府に迫る。決議には、義務づけているテロ対策施設が未完成でも稼働できるようにせよと▼情勢を口実にしたこうした動きが原発事故を味わった人びとの願いといかにかけ離れているか。「私たちは災害がいつ、どこで、どのような形で起きるかわからないことを痛感した。だからこそその経験にふれ、来たる災害に備えなければならない」。震災遺構に記されていた文言です。
(「しんぶん赤旗」2022年3月18日より転載)