日本共産党の志位和夫委員長は、東日本大震災から11年を迎えるにあたって談話を発表しました。談話の全文は次の通りです。
一、東日本大震災から11年を迎えるにあたり、犠牲になられた方々に哀悼の意を表するとともに、被災者のみなさんにお見舞いを申し上げます。日本共産党は、被災者の暮らしと生業(なりわい)の再建、被災地の復興のために、国民のみなさんとともに力を尽くす決意です。
一、被災者の暮らしと生業の再建、被災地の復興は、長い時間を経過したことによる新たな困難や、コロナ危機による観光業、水産業への打撃、気候危機の影響も指摘される深刻な不漁なども加わり、大きな困難に直面しています。被災者の心と体の健康や高齢化による孤立化も深刻です。ところが政府が、被災者の心のケアやコミュニティー形成などの被災者支援予算を2年間で半分近くに減らすなど、支援策の縮小・打ち切りをすすめていることは重大です。被災者支援、暮らしと生業の再建に必要な予算を確保することをはじめ、国が最後まで責任を果たすことを強く求めます。
一、原発推進のための“福島切り捨て”は許せません。東京電力福島第1原発事故の収束はいまだにめどもたたず、その被害は甚大かつ深刻です。すべての原発事故被害者への完全賠償と支援が必要であるにもかかわらず、政府と東京電力は、賠償の打ち切り、医療費の窓口負担をはじめとした支援の縮小、“除染なき避難指示の解除”などをすすめています。とくに、原発事故による放射能汚染水の海洋放出を、漁業関係者との約束を反故(ほご)にし、住民、自治体、関係者へのまともな説明さえなく、問答無用で強行しようとしていることは許しがたいことです。福島はもとより、宮城、岩手などの沿岸漁業にも深刻な打撃をもたらし、被災地の復興に大きな障害をもたらす原発汚染水の海洋放出の中止・撤回を強く求めます。
国民多数の意思であり、福島県民の切実な願いである原発ゼロの日本を実現するために、日本共産党は、広範な方々と力をあわせていきます。
一、東日本大震災の痛苦の教訓を生かす政治への転換が求められます。住宅再建支援金の300万円から500万円への引き上げと対象拡大、避難所の改善、中小企業や農林漁業者への事業再建支援の拡充、大規模災害からの復興に必要な新たなまちづくり制度の創設、災害公営住宅の改善をはじめ、被災者支援を抜本的に強化しなければなりません。被災者支援にジェンダー平等の視点をつらぬくことも大切です。大型開発・新規事業から防災・老朽化対策への公共事業の転換、医療・福祉の日常からの体制確保、住民参加での防災計画など、防災のまちづくりをすすめることが必要です。
東日本大震災での被災者、被災自治体のみなさんの大変な苦労に向き合い、その教訓を生かす政治、災害から国民の命と財産を守る政治に変えるために、日本共産党は力を尽くしていきます。
(「しんぶん赤旗」2022年3月11日より転載)