東京電力福島第1原発事故で避難した住民らが東電に損害賠償を求めた福島原発避難者訴訟(早川篤雄原告団長)で、最高裁第3小法廷(林道晴裁判長)は、東電の上告を退ける決定をしました。7日付。東電に対し、原告216人に計約7億3350万円の賠償を命じた二審判決が確定しました。全国で約30件ある同種の集団訴訟で、東電の賠償が最高裁で確定したのは6件になります。
訴訟は、避難指示が出された福島県楢葉町など沿岸部の住民が訴えました。2020年3月の二審仙台高裁は、国が賠償範囲などを定めた「中間指針」にない「ふるさとの喪失による慰謝料」などを認定し、避難区域の状況に応じた一律追加の賠償を命じました。また慰謝料の算定にあたっては、東電が津波対策を「先送りしてきた」ことを「重要な考慮事情」としました。
決定受け会見
決定を受けて9日、原告と弁護団が東京都内で会見しました。東電に対し▽加害責任を認め、原告らに真摯(しんし)に謝罪すること▽速やかに損害賠償を支払うこと―などを求める要求書を送付したといいます。
決定の意味について弁護団の米倉勉幹事長は、「中間指針」などに基づく賠償水準が不十分なことなどが確認され、「指針による支払いは払い過ぎだ」との東電の主張が否定されたと指摘しました。
原告団長の早川篤雄さん(82)は「裁判に訴える人たちだけが被害者ではありません。原発事故がどれほど多くの人を苦しめているか、わからない。それが原発事故の被害の深刻さだ」と述べました。
原告団事務局長の金井直子さん(56)は、東電の小早川智明社長ら役員が地元にきて謝罪にきてほしいという手紙を出したと明かしました。
(「しんぶん赤旗」2022年3月10日より転載)