共産党議員団集計
エネルギー関連予算のうち36・3%に当たる4269億円が原子力発電関連に使われていることが、2022年度政府予算案の分析で分かりました。日本共産党国会議員団事務局が各省庁提出の資料から集計したものです。
政府のエネルギー関連予算は、経済産業省や文部科学省、内閣府など多くの府省にまたがっています。これらをまとめて、当初予算のみについて原子力、石油・石炭・ガス・資源、省エネルギー(温暖化対策)、自然エネルギー、水素の5分野ごとに算出しました。
最も多くを占めるのが原子力分野です。原子力分野の予算は増加傾向にあり、22年度は21年度に比べ158億円の増加です。当初予算としては、12年度以降の最高額だった18年度の4187億円を上回りました。エネルギー関連予算全体に占める割合も36・3%と、東京電力福島原発事故直後の12年度(41・4%)、13年度(36・8%)に続く高さです。
「新しい資本主義」を掲げる岸田文雄首相は1月17日の施政方針演説で、クリーンエネルギー戦略の名で原発の推進を表明しています。22年度予算案でも原発立地地域の振興費の「電源立地地域対策交付金」に730・4億円を計上。仏・米と協力した高速炉や小型軽水炉(SMR)の技術開発に43・5億円を盛り込みました。
原子力に続いて、石油・石炭・ガスなどの化石燃料および資源の分野が20・2%を占めます。21年度比で金額、比率とも下げたものの、化石燃料重視の姿勢は変わっていません。気候危機が深刻になるもとでも、二酸化炭素(CO2)を大量排出する石炭火力発電からの脱却は拒否。技術が確立していないCO2回収やアンモニアとの混焼などで延命をはかります。
危険な原発に頼ることなく脱炭素を実現するためには、予算の使い方を変え、省エネルギーと再生可能エネルギーに重点を置くことが求められます。
(「しんぶん赤旗」2022年2月10日より転載)