東京電力福島第1原発事故で避難指示が出された住民が東電に損害賠償を求めた避難者訴訟第1陣訴訟(早川篤雄原告団長)が最高裁に係属している問題をめぐり、福島原発被害弁護団は2月8日、東電の上告を棄却し、上告申し立てを受理しないよう求める意見書を最高裁に提出しました。
同訴訟は長期の避難を強いられ故郷を奪われた福島県沿岸部の住民216人が提訴したもの。2020年3月には、同様の集団訴訟で初の高裁判決が仙台高裁で出され、東電に総額約7億3000万円の支払いを命じ、「ふるさとの喪失による慰謝料」を認定。東電に対し津波対策の工事を「先送りしてきた」と指摘しました。
この高裁判決から2年になろうとしています。意見書では「今日も続く被害の救済を実現するためには、『仙台高裁判決が確定すること』が必要不可欠」と指摘した上で、早期の上告不受理決定を求めて最高裁に5回にわたって申し入れたものの「いまだになんらの進展はみられない」としています。
会見した小野寺利孝弁護士は「事故から11年。今なお多くの人が帰れず、被害は続いている。不受理決定で仙台高裁判決を確定させ、一日も早く東電の加害責任を認めた真摯(しんし)な謝罪を得たい」と述べました。
(「しんぶん赤旗」2022年2月9日より転載)