共産党議員 各地で要請
文部科学省から岩手県久慈市の中学校へ届いた『放射線副読本』の段ボール箱の中に、福島第1原発のALPS処理水(汚染水)は「安全」と強調したチラシと配布要請の文書が同封されていた問題(1月29日付掲載)で、首長らの判断で児童・生徒への配布を中止する市町村が相次いでいることが明らかになりました。(岩手県・三国大助)
経済産業省と復興庁による「安全」を前面に書いたチラシは、沿岸部だけでなく内陸部でも中学校にも届き、小学校向けや高校向けのチラシ配布要請の連絡文書もあることが分かりました。
日本共産党の県内の地方議員は、久慈市など11市町村(2日現在)で首長や教育長に対して、チラシ同封の把握と配布中止を要求。「町教育委員会はチラシを見ていなかった」(平泉町)など、市町村からは、学校へ直接送ったことに不満の声が噴出しています。
久慈市では市内22の小中学校のうち3校でまかれましたが、教育委員会は「遠藤譲一(じょうじ)市長の判断を受け、それ以外は留め置くように学校へ指示した」と回答。宮古市教育委員会は「市長が先頭に立って処理水の海洋投棄に反対し、市議会も意見書を可決している。封を切らずに保管するように学校へ指示した」と述べました。
陸前高田市の戸羽太市長は「中身を把握し、直ちに配布をストップさせた」と説明。山田町教育委員会は「校長会で『生徒に配布できない』と判断して、留め置きしている」と答えました。
野田村の小田祐士村長は「小学校向けのチラシが『復興』と合わせて作成され、配られるのは問題だ。慎重に扱う」と語りました。
昨年、海洋放出決定撤回の意見書を全会一致で可決した平泉町では、町議会議長が議会を代表して町長と教育長に申し入れました。
共産党の斉藤信県議は「汚染水の海洋放出を合理化するチラシが学校へ送付されたのは重大だ。党の申し入れに首長や教育委員会が機敏に動いたのは、市町村をないがしろにし、いかに復興に逆行しているかを示すものだ」と話しています。
(「しんぶん赤旗」2022年2月3日より転載)