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福島第1原発 廃炉、前途険しく・・地元反対よそに海洋放出準備 廃棄物コンテナ5000基仮置き

1号機建屋(写真奥)と毎時118マイクロシーベルトを示す線量計=24日、福島第1原発(代表撮影)

 東日本大震災から11年を迎えるのを前に、廃炉作業が行われている東京電力福島第1原発で、合同取材(24日)が行われました。本紙記者も参加しました。増え続ける放射性廃棄物への対応など課題が山積し、前途が険しいと感じさせる取材でした。(嘉藤敬佑)

 JR富岡駅(福島県富岡町)近くの廃炉資料館から東電が手配したバスに乗り、福島第1原発へ。国道6号は途中から帰還困難区域になり、自動車の通行はできるものの、歩行者は通れません。道中、除染作業で発生したフレコンバッグや廃虚同然の姿となった、家電量販店などが見えます。

 記者団に現状を説明した東電の担当者は、放射能汚染水の発生状況について「1日平均で140トン」といいます。また、汚染水から多くの放射性物質は除去できるものの、トリチウム(3重水素)だけは「今の技術では取り除くのは困難」だとしました。

響くアラーム音

 個人線量計などの装備を装着し、原子炉建屋が近い場所へ。移動するバス車内の線量計は、新事務本館を出発する時には毎時0・2マイクロシーベルト程度。1号機に接近するにつれ、線量計が一気に上昇し、1号機を見下ろす高台近くのバスを降りる地点で、毎時40マイクロシーベルトに。1号機が見下ろせる高台付近で線量計が、毎時100マイクロシーベルトを超えました。

 東電の担当者が、1号機の燃料取り出しは2027~28年になる見通しだと説明途中、貸与された各個人の線量計から大きなアラーム音。東電の担当者は「一人1日あたりの被ばく限度の5分の1ずつ鳴る設定だ」といいます。

 多核種除去設備(ALPS)で処理された汚染水を保管するタンク群では、海洋放出に向けた準備が行われています。2月からは、これらのタンクを利用した試験を行う予定だといいます。

 地元から反対や懸念の声が噴出しているのをよそに計画が進む汚染水の海洋放出。東電の担当者は汚染水のトリチウム汚染水について「海水で希釈して、(基準値未満の)1リットルあたり1500ベクレルにして放出する」と説明しました。

 廃棄物関連施設敷地造成エリアには、廃炉作業で発生する作業員の手袋や靴下などの廃棄物を入れたコンテナ約5000基が仮置きされています。28年までに、屋外保管しているものを屋内保管する計画です。

海洋放出のための試験が行われる汚染水が入ったタンク群=24日、福島第1原発(代表撮影)

作業費年2100億円

 東電の担当者は「焼却可能なものは焼却するなどして、今後10年間で78万トンの発生が見込まれる廃棄物を、26万トンまで減らす計画」といいます。

 焼却に伴い発生する灰も保管が必要で、ドラム缶に入れて管理する計画です。また、発生する煙についてもフィルターを通し、モニタリングを行い管理するとしました。

 ただ、発生した灰について「発電所構内で管理することまでは決まっているものの、その後どうするかは決まっていない」とも説明しました。

 トンガ沖の海底火山で発生した噴火では日本沿岸でも「潮位変化」が観測され、福島県も津波注意報が発令。東電の担当者は「構内では、40センチ程度の潮位変化があった」と話し、「週明けの月曜日に設備のパトロールを行い、異常のないことを確認した」と説明しました。津波警報が発令された場合も「作業員の高台避難を行う」としましたが、それ以上の対応について、この時には説明はありませんでした。

 構内取材時間はおよそ2時間。その間の被ばく量は、貸与された個人線量計で、ガンマ線0・02ミリシーベルト、ベータ線0・0ミリシーベルトでした。

 東電担当者は、廃炉作業の費用について、年平均2100億円と説明しました。未来永劫(えいごう)ではないにせよ、今後何十年とかかり続けます。実際の現地での作業とあわせ、改めて「原発は高コスト」だと実感しました。

(「しんぶん赤旗」2022年1月31日より転載)