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2022年度 予算案の焦点 エネルギー 原発・石炭火発に依存

日本の事業所で最もCO2を排出している碧南石炭火力発電所=愛知県碧南市、JERAのホームページから

 2022年度予算案では、岸田文雄政権の財界いいなりでの原子力発電と石炭火力発電への“依存ぶり”が明白です。

 原発推進の予算は、経済産業省、文部科学省、内閣府などで計2863億円です。経産省では、原発立地地域の振興費の「電源立地地域対策交付金」に730・4億円をつけ、仏・米と協力した高速炉や小型軽水炉(SMR)の技術開発に21年度と同額の43・5億円を盛り込みました。

 萩生田光一経産相は新年からグランホルム米エネルギー長官と会談し、新型原発の「小型モジュール炉」や高速炉の国際連携開発に日本政府が協力する方針を伝えました。

 その背景には、「原発の選択肢を排除することはあり得ません」(5日の財界3団体共同記者会見で十倉雅和・経団連会長)などという財界の強い声があります。

 しかし「高速炉」は「高速増殖炉もんじゅ」が深刻なナトリウム漏れ事故などで廃炉に追い込まれるなど、実用化の見込みはありません。「技術開発」だといって巨額の国費を投じることは予算の無駄そのものです。

石炭火力の延命

 22年度予算案は、最も温室効果ガスを排出する石炭火発の技術開発に21年度比8億円増の169・5億円を計上しました。昨年11月には福島県広野町の石炭火力発電所が営業運転を開始し、全国8カ所で建設中です。

 岸田首相が「脱炭素だ」とうたうアンモニアと石炭の混合燃焼の推進には21年度比34億円増の989億円を、CO2(二酸化炭素)を回収・貯留して再利用する研究開発には21年度比22億円増の82・3億円を盛り込みました。混合燃焼は高コストの割にCO2の削減はわずかで、石炭火発の延命でしかありません。

 さらに石油・天然ガスの「化石燃料」の安定供給の確保に2266億円を計上しました。岸田首相は「アジアの脱炭素化に貢献」するとして、萩生田氏が9日から、化石燃料の依存度が8~9割に上るインドネシア、シンガポール、タイを歴訪。混合燃焼の技術協力や日本への石炭の輸出再開(インドネシア)を交渉しました。

国際合意を妨害

 昨秋の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)は、気候危機打開のために世界の平均気温の上昇幅を産業革命前より「1・5度に制限する」ことが必要だと確認しました。そのためにCO2の削減目標「30年に10年度比45%」を合意しました。

 しかし、岸田政権はそれよりも低い「30年に13年度比46%」の目標にしがみついています。気候危機打開の国際合意と世界の流れを妨害するものです。

 脱炭素に欠かせない再生可能エネルギー予算は、21年度からほぼ横ばいの1219億円を計上しました。

 「洋上風力発電等の導入拡大に向けた研究開発事業」には21年度比16・8億円減額され66億円であり、「太陽光発電の導入可能量拡大等に向けた技術開発」も21年度比2・5億円減の30・5億円でした。

(「しんぶん赤旗」2022年1月20日より転載)