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原発・天然ガスに「投資」のEU草案・・環境団体が強く批判

 欧州連合(EU)の執行機関、欧州委員会が、原子力発電所と天然ガスを一定の条件で地球温暖化対策に貢献する「グリーン」な投資先と認定する草案を発表したことに対し、欧州の環境NGOから厳しい批判が相次いでいます。

 グリーンピースの欧州組織は、この規定が導入されれば「EUの気候・環境政策にとって大きな打撃となる」と指摘しました。

 原発が生み出す高レベル放射性廃棄物の処理について、「商業的に引き合う長期的な解決策はまだ発見されていない」とし、天然ガス発電はすでに、EUの発電から排出される温暖化ガスの第1位となっていると述べています。

 そして、「民間投資家に間違ったシグナルを送ることで、再生可能エネルギー100%への移行が妨害される」としています。

 「気候行動ネットワーク(CAN)欧州」は、この草案が、地球の平均気温の上昇を1・5度未満に抑える目標や、2030年までのEUの気候目標(1990年比で温暖化ガス排出を55%削減)と「完全に両立しない」と指摘しました。

 CAN欧州は、EUの「持続可能な資金に関する技術専門家グループ(TEG)」が、化石燃料投資は「持続可能」ではないとする勧告を出したことに言及。欧州委員会の提案は、「天然ガスと原子力ロビー」の影響によって、「科学の公正性を犠牲にした」ものだと批判しました。

 特に原子力への投資については、「壊滅的な核事故の危険」に加え、ウラン採掘から核廃棄物の処理まで「サプライチェーンの全段階で重大な環境、社会的被害をもたらす」と批判しました。

 投資を監視するドイツのNGO「資金変革市民運動」は「欧州委員会は、(加盟国の)国益に屈し、欧州の持続可能な金融市場に打撃を与えている」と指摘しました。

(「しんぶん赤旗」2022年1月5日より転載)