住民はだまされぬ
東京電力が前日に福島第1原発の汚染水(処理水)海洋放出のための海底トンネル建設実施計画の「事前了解願い」を県と大熊、双葉の立地両町に提出した問題で、日本共産党福島県議団と、ふくしま復興共同センターは21日、事前了解せず、計画を容認すべきでないと県に申し入れました。原子力安全対策課の伊藤繁課長が応対しました。
汚染水の海洋放出については、県議会や7割を超える市町村が反対や慎重対応を求めるなか、国が4月に放出方針を決定。その後も県民世論が反対多数というなか、海底トンネルをつくって沖合に流すという計画です。
申し入れでは▽海洋放出方針の撤回を国に求める▽海洋放出の具体化である海底トンネル実施計画の「事前了解願い」を容認しない▽原子力規制委員会に認可しないよう求める▽抜本的な地下水流入対策を講じ地上保管を継続するとの4点を求めています。
各県議は「東電が約束を守らず進めていることに、県として東電に県民の声を聞けというべきだ」「海底トンネルでだますようなことはやめてほしい」などと強く要請しました。
伊藤課長は「知事に伝えます。地元、関係者、県民の懸念する意見を十分配慮したうえで国は進めてほしい」と述べました。
代替策 真剣に考えよ
原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員で福島県いわき市在住の伊東達也さんの話 今回の申請は、海洋放出に強く反対している漁業関係者に国と東電が「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」と約束したことに明確に違反しています。海洋放出問題で何度も東電や国と交渉してきましたが、彼らは“約束をほごにした覚えはない”といっていました。しかし、今回の海洋放出に必要な設備を計画に盛り込んだ申請書の提出は、どんな言い訳をしても東電と国が公然と約束をほごにするもので、道義的にも大問題です。県民に対する不正といってもいいものです。
そもそも汚染水が増えることをストップさせる必要があります。汚染水が増える理由となっている地下水流入の対策として設置された今の凍土遮水壁の効果は限界があると研究者らが指摘しており、それに替わる広域遮水壁というものが提案されています。私たちも国と東電との交渉でも“早く検討すべきだ”と求めました。増える汚染水を減らし、海洋放出でなく大型タンク設置やモルタル固化などの代替策を真剣に考えて福島復興に取り組むべきです。海洋放出は福島の復興を妨げるだけです。福島県民の海洋放出やめよの運動は今後とも続くことになります。
(「しんぶん赤旗」2021年12月22日より転載)