関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の配管破裂による死傷事故では、関電の検査のあり方が問題になっています。
犠牲者を出した関電の下請け会社、木内計測(本社・大阪市)は、定期検査で計器類の検査を請け負っていました。原発で同様の仕事をしている美浜町内の五十代の男性は、本紙に対し次のように語りました。
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原子力というのは一般的に批判されていますよね。でも、仕事してる者は、むしろほかの現場より安全と信じきっているんです。「これだけ批判があるんだから、安全について相当シビアにやられてるはずだ」と思っているんです。
点検にはマニュアルがあって、われわれはそれに従って点検をやっているんです。二十年以上前、原発ができたころは、全部の点検項目をきちっとやっていましたよ。
七、八年くらい前からですかね、なんていうか点検の〃間引き〃みたいなのが出てきたんです。最初は毎年やっていた点検を、二年にいっぺんとか三年にいっぺんとかにして…。電力会社が「今年はここを点検してくれ」と頼むんですから、われわれは言われた通り点検するだけです。
それがいいのか悪いのかは分かりません。計器に関しては問題ないのかもしれません。でも、一つひとつの間引きが、大きな所につながっているのか、とは思います。コストと安全との兼ね合いなんですかね。
繰り返すようですが、われわれは世間から批判されている以上に、安全なんだという気持ちでいました。ミスが起きれば、「なんでこんな細かい所まで」と思うくらい徹底的に分析していました。それでも、「発電所の安全のため」と思ってやってきたんです。
それが、今度の事故部位は一度も点検をしていなかったとテレビで見ました。意外ですよ。「えーっ」って。
亡くなった方の何人かは同業なんで、別の定期検査で会うこともありましたよ。高烏(裕也)さんなど、同じ仕事場で話す機会もありました。実直な人でした。それだけに・・・。