東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)の過酷事故を想定した広域避難計画に実効性がないとして、東北電力を相手に石巻市の住民17人が再稼働の差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が8日、仙台地方裁判所であり、原告団長の原伸雄氏が意見陳述しました。
原氏は、原告を中心に避難計画に従って各自宅から走行した実証実験から、検査所や受付ステーションでの大渋滞の懸念、トイレやガソリン・食料の確保をどうするかなどの問題点が浮き彫りになったと指摘しました。
説明会を県と市に求めたが応じず、内閣府、さらに国の原子力防災会議が女川原発の緊急時対応を了承し、県知事の「同意表明」へと突き進んだと批判しました。
原氏は、「住民にとって、万が一の時、放射能被ばくを最小限にするためには、避難計画が最後のとりでです。最後のとりでの徹底した審査と明確な判断を期待します」と訴えました。
裁判後の報告集会で、小野寺信一弁護団長は、県と石巻市の広域避難計画に実効性がないことを明らかにするために、県、石巻市、内閣府に「計画」の実施内容への具体的質問に答えるよう求める「調査嘱託」を申し立てたが、それを裁判所が採用するかが大きなカギとなると話しました。
(「しんぶん赤旗」2021年11月10日より転載)