日本原子力発電(原電)が敦賀原発2号機(福井県)の審査資料のデータを無断で書き換えていた問題で、原子力規制委員会の更田豊志委員長は2日の定例会合で「多数のミスで出し直しもあった」「(申請を)1回取り下げて再申請した方がすっきりする」と述べました。
同原発の再稼働に必要な申請は約6年前の2015年11月。更田氏は会合後の会見で、申請取り下げを命じる権限が規制委にないとしながら、管理が必要な申請資料の増加や審査チームを維持し続けることなど「好ましくない」と述べました。審査担当の石渡明委員は会合で、「経緯をずっと振り返ってみると、(委員長の発言は)もっともだと思う」と述べました。
敦賀原発2号機をめぐっては、2号機直下を通る断層が活断層かどうかをめぐって規制委の審査が続けられており、無断書き換えは、昨年2月の審査会合で規制委側が指摘し発覚しました。このため規制庁が原因を調査するため原電の本店の立ち入り検査などを実施しています。
公開審査は昨年10月以降開かれていませんが、原電は品質保証体制を見直したとして、地質などについての大量の資料を今年4月以降に規制委に提出しています。しかし、規制委は、原電の提出したデータの信頼性に疑問があると同8月に同原発の審査の中断を決定していました。
規制庁によれば、4月以降に提出された資料をサンプリングして元データと照合したところ記載が異なる箇所を確認しました。また、複数種類の観察結果がある場合、原電が観察結果を比較評価していなかったと指摘しています。
(「しんぶん赤旗」2021年11月3日より転載)