東京電力は28日、福島第1原発の1~4号機の建屋周囲の土壌を凍らせて地下水流入を防ぐための凍土壁(陸側遮水壁)の一部で、地中温度が0度を上回る状態が9月中旬から継続していることを明らかにしました。東電は「遮水機能は維持されている」と判断していますが、一部が溶けている可能性は否定できないとしています。今後、現場の状況を確認します。
東電によると、8月27日ごろから、凍土壁の一部で深さ1~4メートルの地中の温度の上昇傾向がみられ、9月中旬に0度を超えて最高10度に達しました。この場所では、地中のコンクリート製の排水路と凍土壁が交差しています。原因について東電は、排水路にすき間ができ、そこから凍結範囲に水が流出している可能性があると推定しています。
東電は、部分的に溶けた部分があったとしても、凍土壁の内側と外側の水位差が一定程度確保されているため全体的な遮水性は継続していると説明しています。
凍土壁は、1メートル間隔で設置した凍結管にマイナス30度の冷媒を循環させて周辺の土壌を凍らせ、深さ約30メートルの“氷の壁”をつくります。総延長は約1500メートル。
(「しんぶん赤旗」2021年10月30日より転載)