日本共産党嶺南地区委員会 > しんぶん赤旗 > 岸田自民党は原発推進派

岸田自民党は原発推進派

 岸田文雄内閣が発足し、テレビは、「“華麗なる一族”出身」「44歳で抜てき マル秘素顔」などと無批判に新閣僚を紹介したりしていますが、政権全体をみてみると、テレビでは報じない、原発再稼働にとどまらず原発新増設をにらんだ布陣が浮かび上がってきます。

原発を使い倒す

 政権の要、自民党幹事長に就任した元経済再生相の甘利明氏は、ことし4月、自民党有志議員で設立された「最新型原子力リプレース推進議員連盟」の最高顧問。“原発ムラのドン”といわれています。

 同議連は、政府の次期エネルギー基本計画に、原発の新増設やリプレース(建て替え)推進を柱に位置付けることを目指しており、9月の総会では、同計画の素案に盛り込まれた「可能な限り原発依存度を低減する」との文言を削除し、原発を最大限活用する内容への修正を求める決議を採択し、今回の総裁選候補者に見解をただしています。

 内閣では、甘利氏の側近で、自民党経済産業部会長や経済産業副大臣を歴任した山際大志郎氏が経済再生相に就任。ことし2月22日の衆院予算委員会で、「原子力はもう少し前向きに利活用しなくてはいけない」「原発を使い倒さなければならない」と質問するなど原発に前のめりです。

原発ムラの期待

 官邸人事では、2019年まで経済産業省の事務次官だった嶋田隆氏が、政務担当の首相秘書官に就任。省庁の次官経験者の起用は異例中の異例です。嶋田氏は、2011年の東京電力福島第1原発事故を受けて設立された原子力損害賠償支援機構の理事や事務局長、東京電力の取締役などを歴任しています。

 要所に原発推進派を配置した岸田政権。“原発ムラ”の期待が高まっています。

 岸田自民党新総裁が選出された翌9月30日、経団連の夏季フォーラムでは、「原子力(の活用)を含めた国民的な議論を」(原発メーカーの日立製作所・東原敏昭会長)、「原子力発電の活用と産業競争力の強化が必要」(日本原子力産業協会メンバーの日本製鉄・橋本英二社長)など注文が相次ぎました。経団連は4日に、次期エネルギー基本計画案へのパブリックコメント募集で「(原発の)リプレース・新増設について明確に記載すべきである」とし、巨額の税金を原発新増設に投入することを求めています。

 「人の話を聞くことが特技」という岸田氏。原発事故の被害者の苦難に耳を傾けるのではなく、財界の意のまま原発推進は許されません。

 (藤沢忠明)

(「しんぶん赤旗」2021年10月10日より転載)