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2021総選挙 目でみる経済・・予算3分の1が原発

 気候危機打開へ、脱炭素社会を実現するためには、民間投資のほか、政府の予算措置が欠かせません。税制優遇や補助金などを実施するための財源が求められます。

 現在の政府予算でも、公共投資は年間25兆円規模で行われています。現在、公共投資の対象には、都市再開発や高速道路など大型プロジェクトも多く含まれています。公共事業の内容を転換することで、省エネに配慮した公共交通を拡充することなどの政策が実現できます。

年1兆円規模

 同時に、エネルギー関連予算の見直しも必要です。政府のエネルギー関連予算は、経済産業省だけでなく、内閣府や文部科学省、環境省など多くの省庁にまたがっています。しかも、一般会計だけでなく、エネルギー対策特別会計、東日本大震災復興特別会計からも支出されます。これらを合計すると、毎年1兆円を超える規模の財源となっています。

 エネルギー対策予算を分野別に見ると、最も大きな割合を占めているのが原発対策です。日本共産党の岩渕友参院議員室のまとめによると、2021年度のエネルギー対策予算1兆2208億円のうち、原子力対策予算は4121億円と33・8%を占めます。原子力対策予算で行われる事業では、「革新的な原子力技術開発支援事業」(予算額9億円)と称して原発開発に補助金を出したり、高速増殖炉「もんじゅ」が破綻したにもかかわらず、「高速炉に係る共通基盤のための技術開発委託費」に40億円を計上したりしています。

再エネ少なく

 続いて多いのが、石油等対策で2531億円(20・7%)です。この予算には、石炭火発などの開発を含む「次世代火力発電の技術開発事業費」(155億円)なども計上されました。

 今、最も普及が求められている再生可能エネルギー対策(水素対策は除く)には924億円と、7・6%しか計上されていません。この10年の政府当初予算をみても、1割程度しかありません。また、省エネなど地球温暖化対策は2割弱の2418億円です。石炭をはじめとする火力発電所への固執や、危険な原発推進路線から脱却し、社会経済システムを大きく転換すれば、エネルギー予算の7~8割を再エネ対策にあてることは十分に可能です。(清水渡)

(「しんぶん赤旗」2021年10月9日より転載)