高裁で断罪3件目
東京電力福島第1原発事故で、愛媛県に避難した10世帯23人が国と東電に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が29日、高松高裁(神山隆一裁判長)であり、一審の松山地裁に続き、東電と国の責任を認め、原告23人に約4600万円の賠償を命じました。同種訴訟で国の責任を争った高裁判決は4件目で、国の責任を認めたのは3件目です。
神山裁判長は、東電について「重過失があるとまでは言えないが過失の程度は相当に重い」とし、国についても連帯して責任があると認めました。
国の責任について、2002年に地震調査研究推進本部が公表した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」の見解を「想定される津波が福島第1原発に及ぼす影響の有無や程度を調査、検討すべきであった」と断じ、第1原発の技術基準に関して「基準に適合していないものと判断できた。技術基準適合命令を発しなかったことは合理性を欠く」と断じました。
裁判所前では愛媛、香川両県の支援者が見守り、「高裁で三度断罪」の旗が掲げられると拍手が湧きました。
判決後の集会で野垣康之弁護士は「国の責任を明確に認めており、非常に意義がある。今後に与える影響も大きい」と評価しました。
福島県南相馬市から避難している原告団代表の渡部寛志さん(42)は、「国策として原発を進めたことに踏み込んだと思う。私たちの思いをくみ入れてくれた。ただ、ふるさと喪失慰謝料がほとんど認められなかったのは納得いかない」と話しました。
(「しんぶん赤旗」2021年9月30日より転載)