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島根原発2号機「適合」・・10キロ圏に県庁など中枢機関 避難計画対象地域46万人居住 & 島根原発 再稼働あり得ない・・むこせ2区候補ら緊急宣伝

島根原発2号機「適合」・・10キロ圏に県庁など中枢機関 避難計画対象地域46万人居住

 原子力規制委員会は15日、中国電力島根原発2号機(松江市)の再稼働に必要な新規制基準に「適合」しているとする審査書を正式に決定しました。規制委が、審査書を決定した原発は17基目。重大事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型では5基目ですが、いずれも再稼働していません。

規制委決定

 島根原発は全国で唯一県庁所在地に立地し、原発から10キロ圏内には県庁をはじめ県警察本部など中枢機関があります。避難計画が義務付けられている半径30キロ圏内に、鳥取県の境港市、米子市なども含め2県6市に約46万人が暮らします。事故時の避難計画の実効性など課題は山積しています。

 中国電は、2013年12月に同原発の申請を提出しましたが、震源断層の長さの評価などをめぐり、審査が長期化しました。中国電が1998年になって存在を認めた同原発の南2キロにある宍道(しんじ)断層の長さの評価は、規制委に申請後も訂正を繰り返し、22キロから39キロに延びました。

 想定される最大の地震の揺れは、600ガル(ガルは加速度の単位)から、820ガルに引き上げられました。また、考慮される津波は最高で11・9メートル。敷地で想定される火山灰の厚さを最大56センチとしています。

 中国電は、500カ所以上の点検漏れが10年に発覚。さらに再発防止を誓った後も、データのねつ造などの不祥事が繰り返されています。6月にも規制委から貸与された機密文書を誤廃棄しながら、約6年間報告していなかったことが判明しています。

 中国電は、今年度中に新規制基準対応の工事を終える予定ですが、再稼働には地元合意が必要。時期は未定としています。

解説

エネルギー政策の転換を

 原子力規制委員会が再稼働のための審査書案を決定したのは、島根原発2号機を含め、17基。そのうち再稼働に至ったのは6原発10基です。19年の国内の発電量に占める原発の比率は約6%でした。

 しかし、自公政権は「脱炭素」を口実に原発の再稼働を加速しようとしています。現在意見公募中の第6次エネルギー基本計画案では、原発は「必要な規模を持続的に活用していく」としており、2030年度の発電量に占める割合を「20~22%」にするとしています。

 これを達成するためには電力会社が規制委に審査を申請した原発、27基すべてが審査に合格し、再稼働し、順調に稼働を続ける必要があります。このうち島根原発2号機を含む12基は、30年には現行の法律で運転期間の原則である40年を超過します。

 基本計画案は、稼働率の向上や長期運転の模索も表明しています。老朽原発を含む原発の酷使は、安全性をさらに犠牲にします。

 また、事故時の住民避難はいずれの原発でも大きな課題です。水戸地裁は今年3月、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)は、周辺住民の防災対策が不十分として運転の差し止めを命じる判決を出しています。島根原発は、全国で唯一県庁などの重要施設が原発から10キロ圏内に位置し、原子力災害発生時の対応に困難が予想されます。

 こういった原発の再稼働は、住民にリスクを強要するばかりか、次世代への負の遺産となる使用済み核燃料も増大します。また、再生可能エネルギー拡大の妨げにもなり、気候変動対策としても有害無益です。早急に自公政権の原発固執政治から脱却し、省エネと再エネを中心とするエネルギー政策への転換が必要です。

 (松沼環)


島根原発 再稼働あり得ない・・むこせ2区候補ら緊急宣伝

宣伝する(左から)大国県議、むこせ候補、尾村県議、上代委員長=15日、島根県庁

 原子力規制委員会が15日の定例会合で、中国電力島根原発2号機(松江市)が新規制基準に適合しているとする審査書を了承し、「正式合格」となったことを受け、同日、日本共産党の、むこせ慎一衆院2区候補、尾村利成、大国陽介の両県議、上代善雄県委員長、岩田剛東部地区委員長が島根県庁前で緊急宣伝しました。

 「正式合格」は、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型では4原発5基目。

 むこせ氏は「実効ある避難計画は未策定で、使用済み核燃料の処理方法も未確立だ」と強調し、「総選挙で自公政治を変えて原発ゼロを実現しよう」と呼びかけました。

 尾村氏は、「2号機再稼働によって原発の危険を抱え、原発依存の島根を続けるのか、原発と決別し、安全・安心の島根の道を歩むのか、歴史的岐路に立っている」と強調。新規制基準について、規制委自身が「基準を満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではない」としていることを紹介し、「福島事故の教訓は、安全な原発などあり得ないこと。社会を破滅させる原発事故が起きる危険が『万が一』でもあるならば、原発再稼働などあり得ない」と力を込めました。

 金曜日行動実行委員会も同日、県庁前で集会を開き、「島根原発もう動かさないで」などのプラスターを掲げて市民にアピールしました。

(「しんぶん赤旗」2021年9月16日より転載)