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福島に生きる 信夫山の自然を守る会代表 春山哲郎さん(84) 愛する山とともに

 福島市のJR福島駅から北へ1キロほど離れたところに信夫山(しのぶやま)があります。

 福島盆地のほぼ中央に位置し、標高275メートル、周囲7キロの自然豊かな里山です。山岳信仰の山としても知られています。

■散策を欠かさず

 この山の近くに住む春山哲郎さん(84)は、こよなく信夫山を愛してきました。

 中学時代は蝶(ちょう)類同好会を作り、蝶の収集に明け暮れて過ごしました。

 高齢者となった今も自然散策に欠かさずいっています。春山さんは、原発事故以来、放射能測定チームを作り、継続して信夫山の放射線量を計測してきました。信夫山を9コースに分けて3人一組で測定してきました。地上1メートルで測りました。放射線量は次第に減ってきたものの、散策コースの左右にあるやぶや木立のなかに一歩入り込むと測定値の数値は、下がるどころか上がっているところもありました。

 「子どもらが斜面を駆け下りたり、転がりまわったりして良いのだろうか」と懸念しています。

 春山さんらは、2019年2月に「信夫山の自然を守る会」を作りました。信夫山の乱開発に反対する声を上げたのです。福島市も参加する「信夫山再生計画」が18年9月に提案されたからです。

 羽黒神社の参道の木々にロープを張り、滑り降りる「ジップライン」を3本作ること、通称「御神坂広場」にトレーラーハウスの設置や駐車場を設けるなどという計画でした。

 「信夫山の自然環境破壊、景観・歴史無視以外のなにものでもない、再考を!」と地元紙に投書。反対する市民の声に加え、この計画が建築基準法、風致地区、福島市都市公園条例に照らして違反することが明らかになり、中止させることができました。

■出荷制限いまも

 原発事故10年の今年、放射線量調査を再開。線量は次第に減ってきていますが、まだまだホットスポットがあります。信夫山周辺は江戸時代から栽培されてきたユズの産地です。しかし、原発事故の影響で出荷制限がかけられています。

 春山さんは、信夫山の自然を取り戻す活動、さらに「原発ゼロ」の国民的大運動にもかかわっていきたいと話しています。(菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2021年9月4日より転載)