日本原子力発電(原電)が敦賀原発2号機(福井県)の審査に用いる地質データを無断で書き換えた問題について、28日の原子力規制委員会の定例会で原子力規制庁による検査の中間報告がありました。規制委は同原発の再稼働に必要な審査を中断するかどうかを検討することにしました。
中間報告は、審査資料を作成する原電の担当グループの管理職とその上司とで、地質データの書き換えについて認識の相違があったなどとする原電の説明を繰り返した上で、「データを処理するために必要な業務管理が適切に実施できていなかったことが確認された」としました。
地震・津波などの審査を担当している石渡明委員は「(審査)資料が正しいか疑問がある」として、最終報告が出るまで審査を「止めたほうがいいのではないか」と提案。これを受けて規制委は、来月の定例会で審査を継続するかどうか議論することにしました。
敦賀原発2号機をめぐっては15年3月、規制委の専門家会合が原子炉直下を走る断層が、将来活動する可能性があると判断。原電は、活動性はないと主張し同年11月、審査を申請しました。
2020年2月の規制委の指摘で書き換えが発覚。計80カ所で書き換えや削除が確認されたため、規制委は原電に原因究明を指示し、規制庁が本店への立ち入り調査などを実施しています。審査会合は昨年10月以降開かれていませんが、原電から地質などについての資料が大量に規制委に提出されています。
石渡氏は定例会で、同原発の過去の審査資料に1000カ所以上の誤記を原電が報告した半年後に書き換えが発覚したこととの関連や、同じ原電の東海第2原発(茨城県)の地質資料づくりの方針となぜ違うのか明らかにするよう求めました。
(「しんぶん赤旗」2021年7月29日より転載)