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福島に生きる 福島原発かながわ訴訟原告 山田香三さん(72) 俊子さん(80) 地震のたび原発心配

山田さん夫妻=南相馬市内

 新型コロナウイルスの感染拡大と原発事故による放射能汚染に翻弄(ほんろう)されている人たちがいます。福島原発かながわ訴訟原告の山田香三さん(72)、俊子さん(80)夫妻は、昨年3月、避難先の東京都板橋区の娘宅から福島県南相馬市原町区の自宅に一時帰宅しました。

 「新型コロナウイルスが首都圏でも拡大していたので心配で…」

 自宅周辺は、東京電力福島第1原発事故で緊急時避難準備区域となり、事故の年の9月に解除されました。ただ、放射線量は、毎時1マイクロシーベルトもありました。

 「これまで、年に数回様子を見に行きました。また、野菜をつくって放射線量を測っていました。近所は、子どもの声はせず、お年寄りが静かに暮らしているようでした」

現実を直視して

 2人は定年退職後に「おいしい空気を吸い、ミネラルたっぷりの水を飲み自給自足に近い生活をしよう」と田舎暮らしにあこがれて南相馬市に移住しました。

 「余生をのんびり、ゆったりと地域の人とすごしたい」という夢が原発事故ですべて壊れました。

 「最悪の10年。怒り心頭です。再稼働する原発が次々。地震があるたびに原発で何か起きないか心配でおびえています」

 神奈川県に一時避難しているとき、「司法に訴えるしかない」と、期待を裁判に託して「福島原発かながわ訴訟」の原告に加わりました。横浜地裁の一審判決は、国と東電の責任は認めたものの、避難者たちが負った損害、苦難に見合った賠償額には程遠いものでした。

 現在、東京高裁で控訴審がすすめられています。

 コロナの危険から逃れてきた夫妻。一方、今も原子力緊急事態宣言中です。放射線量を測ると、家の外は今でも一瞬高線量に。家の中でも毎時0・18マイクロシーベルトあります。「食物、水、空気も…。安心して生活できません」

 こうした現実を「直視してほしい」と望む俊子さん。「控訴審でも現地検証をしてほしいです」

不当判決に怒り

 6月2日、新潟地裁で福島原発避難者新潟訴訟の判決がありました。

 国の責任を認めない不当判決です。俊子さん、香三さん二人の携帯には各地の仲間から判決内容を知らせるメールが入りました。

 「くやしい。怒りでいっぱいです。原発事故は万が一にも起こしてはいけないのに、裁判長はどっちを見て判決を書いているのか」と怒ります。

 「憲法を守ることが司法の役目」と考える香三さん。「避難の権利を認めていない。命よりも経済優先の国の政策を容認した不当判決です」と俊子さんは言います。

 「国は特に子どものいのち、健康、未来を守らなきゃ」

 (菅野尚夫)

(「しんぶん赤旗」2021年7月11日より転載)