東京電力福島第1原発事故当時、福島県などに住んでいた約1200人が国と東電に原状回復と損害賠償を求めた「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟)第2陣の弁論が1日、福島地裁(小川理佳裁判長)でありました。裁判長が交代したため原告と被告がそれぞれの主張を陳述しました。
原告で福島県伊達市の高橋敏明さんは原発事故の被害についてADR(裁判外紛争解決手続き)の申し立てをしましたが、和解案を東京電力に拒否されました。
「国や東京電力は、きちっと責任を取ってほしい。差別なく、被害実態に応じた明確な対策や賠償をしてほしい」と訴えました。
南相馬市の男性(44)は1999年から原発事故が発生するまで、福島第1原発の下請け作業員として、計器類の点検などを行い、事故時は5号機の定期検査業務に従事していました。
男性は「国と東電が原発汚染水を海洋放出すると決めたことに抗議する」と述べ、「人生を返してほしい」と陳述しました。
また、原告弁護団が「責任論」「損害論」などについて陳述。国は準備が間に合わなかったとして弁論を行わず、東電は、原子力損害の範囲に関する「中間指針」で十分に(賠償金は)支払っていると強弁しました。
(「しんぶん赤旗」2021年7月2日より転載)