東京電力福島第1原発事故で、被災者が国と東電に原状回復と損害賠償を求めた裁判の第3回口頭弁論が11月12日、福島市の福島地裁(潮見直之裁判長)で行われました。
今回から「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟と、ふるさと喪失訴訟が併合されました。原告側は国の責任と損害賠償について追及。原告代理人は過失として「事故という結果を起こさないようにする注意義務」があったこと、設計基準事象での注意義務や過酷事故対策義務があったことなど国の責任について明らかにしました。また、東電に対し試算データなどを提出するよう求めました。
裁判所は、原告の主張を認めて2002年から08年の文書いっさいを出すよう判断しました。弁護団は「大きな成果だ」と評価しています。
南相馬市小高区の高木光雄さん、福島市から山形県米沢市に避難している武田徹さん、福島市内の土湯温泉でコンパニオン委託派遺業を営む女性の3人の原告が原発事故による損害について陳述。
コンパニオン委託派遺業を営む女性は「原発事故前は27軒のホテルや旅館が営業していましたが、事故後廃業する旅館などが相次ぎ、16軒まで減り開店休業の状態」になったことを証言しました。
小高でラーメン店を営んできた高木さんは「小高で健康な限りラーメン店を営みながら余生を過ごしたいと考えてきました。ついの住みかを奪われたこと、生業を奪われたことは痛恨の極み。国と東電はきっちりと責任をとってもらいたい」と陳述しました。
武田さんは40年前にあった原発建設差し止め訴訟が棄却されたことに触れ、「裁判官が福島に住む人の立易にたち、原発の危険性を認識して判断していたら、今回の事故は防げたかもしれません」と公正な裁判を求めました。