日本原子力学会は6月12日、東京電力福島第1原発の廃炉の課題と展望をテーマにシンポジウムを開きました。事故を起こした世界の原発の「廃炉」のあり方などを議論しました。
同学会が設置した廃棄物検討分科会の主査を務める柳原敏・福井大学特命教授が、世界の原発の廃炉や環境修復の状況を報告。国際原子力事象評価尺度(INES)レベル4以上の事故を起こした原子炉14基について、事故対応や除染を終えても即時解体撤去せず、数十年間に及ぶ「安全貯蔵」の期間を設ける施設が大部分だと紹介しました。
恒久停止した原発は193基あり、廃炉後の敷地の利用形態は(1)原子力の研究開発(2)放射性廃棄物の処分・管理(3)自然公園やレクリエーション施設、ビジネス地区などの非原子力目的―に分類され、市民を含めて利害関係者を交えた議論と協力のもとで決める重要性を指摘しました。
柳原氏は、福島第1原発について、推定770万トンの放射性廃棄物を「どう処理・処分するかを考えたうえで(廃炉の)シナリオ決定が必要ではないか」と述べました。
シンポでは建屋の耐震性やロボット技術の現状も議論しました。
(「しんぶん赤旗」2021年6月16日より転載)