日本のエネルギー政策の根幹をなす「エネルギー基本計画」の見直しが大詰めを迎えている。この間、政府は温室効果ガスの削減目標について、2050年までの排出実質ゼロ、2030年の46%削減(13年度比)など、不十分ながらも大幅に目標を引き上げてきた。それらを反映する大きな改定となる。5月13日に出された骨格案について、雑感を述べたい。
第一に、原発の位置づけが高い。骨格案の第1章に福島復興を位置づけ、その後も電力・エネルギー源に関する見出しでは必ず再生可能エネルギーと化石エネルギーの間に原子力が入る。第6章「2030年に向けた政策対応」では「原子力政策の再構築」の節に最多の7項目が設けられ、その中には「国際協力の積極的推進」まで含まれる。気候変動対策を口実にした原発推進は断じて認められない。
第二に、最優先すべき省エネや大量生産の見直しの位置づけが低い。第6章は11節からなるが、省エネがメインなのは最初の節の1項目のみ。日本の温室効果ガスの2割以上は鉄やプラスチックなどを作る際に排出されるが、そうした素材の使用を減らすような項目は見当たらない。
この夏にも改定案が出されうる。原発なしの前向きな計画になるよう尽力したい。(鮨)
(「しんぶん赤旗」2021年6月15日より転載)