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新潟地裁 原発事故避難者訴訟判決・・国の責任認めず

 東京電力福島第1原発事故で福島県から新潟県に避難した801人が国と東京電力に計88億5499万999円の損害賠償を求めた被害救済新潟避難者訴訟(2013年7月提訴)の判決が2日、新潟地裁(篠原礼裁判長)でありました。

 篠原裁判長は国の責任について、「2002年時点で予見可能性はあった。しかし、予見性の程度は低いか、一定程度にとどまる」として請求を棄却しました。一方、東京電力に対して1億8375万8600円の賠償を支払うことを命じました。

 判決は事故を防げたかについて、防潮堤の設置が完成したとは認めがたく、建屋の水密化の措置によって原発事故の発生を防ぐことはできなかったと判断しました。

 福島市内から避難した原告の40代女性は「国の責任が認められなかったことが悔しい。納得できません。信じられない判決です。控訴します」と語りました。

 伊東達也・原発問題住民運動全国連絡センター筆頭代表委員は、「原発事故は万が一にも起こしてはならないことを大前提に対策をとらなければならないことについて無理解な判決」と批判しました。

「納得いかない」 悲痛の声

 国の賠償責任を認めない不当判決に原告の避難者から「頭が真っ白になった」「納得がいかない」と悲痛の声があがっています。

 郡山市から母子で避難した女性は、「原発事故がなければ、苦しい避難生活も健康不安も抱えることもなかった。当時小学校1年生と年少の子どもが鼻血や足を痛がるなど体にも影響が出たため、夫を残して避難するしかなかった。10年も苦しんできたのに、国の責任がないと言われるのは納得がいかない」と話しました。

 郡山市から母子で避難した女性(47)は、「決してお金が欲しいからではなく、私たちの日常生活がなぜ奪われたのか、国の責任を問うために裁判に訴えたのに残念だ。子どもの健康を守るため母子避難をした人も多く、離婚や別居にいたった友人もいる。私も新築のマイホームを手放さざるを得なかった。その苦しみに司法は向きあってほしかった」「家族では判決を勝ち取るまで頑張ろうと話している」と話しました。

 「生業(なりわい)訴訟」原告団の男性は、「国の責任を認めた東京と仙台の高等裁判所判決に逆行する不当判決だ。新潟地方裁判所の判決は間違いだったと逆転勝訴するために、全国の原告で励まし合って頑張りたい」と話しました。

(「しんぶん赤旗」2021年6月3日より転載)