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政府の次期エネ基本計画案・・「脱炭素」口実に原発固執

気候変動対策推進のための有識者で発言する菅義偉首相=24日、首相官邸

再エネ優先への転換こそ急務

 経済産業省は、次期エネルギー基本計画の根幹となる2030年度の電源構成で「脱炭素電源」の比率を6割程度とする検討に入りました。しかし「脱炭素」の名目で、原子力発電の割合も2割程度とし、再生可能エネルギーの導入と合わせた原発再稼働の姿勢を見せています。(嘉藤敬佑)

 同計画は、50年までに二酸化炭素など温室効果ガス排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を達成するため、30年に向けた政策対応です。現在、国内の電源は火力発電が中心で、発電時に二酸化炭素を排出しない電源の整備は急務となっています。

 政府は24日、気候変動対策の有識者会議を開き、出席した委員から、再生可能エネルギー普及のための規制見直しのほか、原発の新増設や建て替えの必要性を指摘する意見が出たといいます。

 経産省は昨年10月に公表した、エネルギー基本計画の見直しに向けてとする資料で、30年の取り組み目標として、再エネ電源の比率を22~24%にするとしており、今回の検討ではさらにその比率を引き上げる形です。

2割確保狙う

 ただ同時に、現在は全電源に占める割合が6%の原発も2割程度にするとしており、「脱炭素」の名のもとで、原発の再稼働も狙っています。

 さらに、今年4月の日米首脳会談でも、菅義偉首相とバイデン米大統領は「30年までに確固たる気候行動をとる」ことを約束。その中で、再生可能エネルギーの普及と同時に「革新原子力等」のイノベーションも行うとしています。

 日本共産党はこれまで国会質問で、「脱炭素」が原発再稼働の口実になっていることを指摘したうえで、「再エネ最優先にかじをきるべきだ」「国民世論に反し、脱炭素を口実にした原発再稼働は許されない」とたびたび政府の姿勢をただしてきました。

 ところが、梶山弘志経産相は「今の時点で原子力を放棄するという選択肢はない」「確立した脱炭素電源である原子力の活用は欠かせない」などと答弁し、原発への強い固執を示しています。

法案共同提出

 日本共産党は、政府のエネルギー政策について「脱炭素」などを名目にした「新型炉」の研究開発など、原発を温存、支援する余地を残していることを厳しく批判しています。

 また、日本で再エネの普及が進まないのは、原発が動けば動くほど、再エネの受け入れ量が減るような原発最優先のルールがあるためだと強調。エネルギー政策の中心に再エネを据えてこそ、再エネ産業が発展し導入も進むと訴えてきました。

 原発の維持にかかるコストについても、経済的に成り立たず、避けられないリスクを抱え、将来世代に膨大な重い負担をかけることになると指摘。将来世代に負担をかけない、別の道を選ぶべきだと求めてきました。

 日本共産党、立憲民主党、社民党、自由党(当時)の野党4党は、原発ゼロにかじをきり、電源は再エネを中心にすえるための「原発ゼロ基本法案」を共同提出しています。

 世界最悪の原発事故を起こした日本こそ、率先して脱原発に進む責任があります。

(「しんぶん赤旗」2021年5月29日より転載)