原発汚染水処理 代替案検討せず放出決定するな・・原子力市民委員会
原発ゼロ社会をめざし政策提言をしている原子力市民委員会(座長・大島堅一龍谷大学教授)は11日、「有効な代替案を具体的に検討することなく海洋放出を決定しようとしていることに抗議する」とする緊急声明を発表しました。同委はこれまでに、汚染水の扱いについて、大型タンクによる陸上保管やモルタル固化などの代替案を提案してきました。
声明は、問題点として(1)社会的な合意形成の手続きが踏まれていない(2)トリチウムは放射性物質であり、環境への放出は厳に避けるべき(3)海洋放出を決定しても、数十年に及ぶ長期間のタンク保管は避けられない(4)汚染水対策を含む「廃炉」方針や工程の技術的な見直しが不可欠(5)復興を妨げている最大の要因は、政府と東京電力への不信である―と指摘。「このような状況での海洋放出決定は誤りだ」と断じました。
大島座長は「賠償を必要とする被害を今またもたらすことは絶対に許すことができない」と述べました。
日本消費者連盟は12日の声明で、自治体や農林水産業など地元の反対を顧みず、放射性物質が残っている汚染水を海洋に放出しようとするのは「暴挙」だと批判し、方針の撤回を求めています。
全国保険医団体連合会は11日、公害環境対策部長と原発問題学習交流会の連名で、海洋放出が「福島県の漁業に壊滅的な打撃を与え、これまでの努力が水泡に帰す」と表明。当面、陸上保管を維持して国内外の英知を集め、解決を図るよう要請しました。