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原発汚染水処理 海に流すな 声聞け/福島・全国・世界から

汚染水の海洋放出反対を訴える参加者=12日、福島市

 「勝手に決めないで」「海洋放出しなくてよい選択肢を」。東京電力福島第1原発で発生する放射能汚染水を処理した後の高濃度のトリチウム(3重水素)を含む汚染水を薄めて海に流す方針を菅義偉政権が決定しようとしていることに、国民の怒りが広がっています。福島をはじめ日本と世界の声を聞いて、代替案をきちんと検討して解決を図るよう求める声があがりました。

県民バカにしてる

 菅義偉首相が13日にも関係閣僚会議で東京電力福島第1原発から出るトリチウム汚染水(処理水)の海洋放出を決定しようとしている中、福島市で12日、「海に流すな、決定を強行するな」と宣伝が繰り広げられました。主催は、ふくしま復興共同センター。

 「トリチウム汚染水の海洋放出決定を強行するな!」「菅首相は福島県民の声を聞け!」と書かれた横断幕や、「汚染水を海に流すな」というポスターを掲げた市民・労働者がJR福島駅前通りにずらりと並びました。日本共産党の5県議も勢ぞろいしました。

 「漁業者だけでなく多くの県民が反対の声を上げている。いま汚染水を流すことは許されない」「海に流すことが実害であり、風評被害にもなる。国民の声を聞かない政権はいらない」とリレートークで次々に批判の声を上げました。

 昼休み時間で会社員らが注目し、店内から出てきて見入る従業員も。買い物に来ていた女性(83)は「海洋放出に絶対反対。結果ありきでバカにしている」と憤ります。

 ポスターを掲げていた清水裕平さん(35)は「漁業者だけの問題ではない。私たち県民が一丸となって海に流すなと訴えるとき」だと話しました。

政府に要請・交渉

 全国公害被害者総行動実行委員会は12日、経済産業省と内閣官房に対し、東京電力福島第1原発で増え続ける汚染水の海洋放出をやめることなどを求めて要請交渉を行いました。

 経産省へは、(1)被災者の早期救済に背を向けている東電への指導(2)エネルギー基本計画の見直しにあたり、原発と石炭火力発電の「重要ベースロード電源」との位置づけをやめる(3)トリチウム汚染水の海洋投棄をやらない(4)国の賠償水準を定めた「中間指針」の見直し―などを求めています。

 公害・地球環境問題懇談会の吉川方章さんは交渉後、「国民の圧倒的多数が汚染水の海洋放出反対であり、政府はその声をしっかり聴くべきだ」と訴えました。

 内閣官房への交渉前の打ち合わせで、福島県双葉郡浪江町に住み、原発事故後に関西へ避難した菅野みずえさんが「原発事故で、私たちの生活やこれまで築き上げてきたコミュニティーが壊された」と強調。「除染と称して森林を焼こうとするなど、国のめちゃくちゃな対応にどこから怒っていいかわからない」と憤りました。

 福島原発被害東京訴訟原告の鴨下美和さんは「漁民が風評被害で苦しんでいるのは、政治の責任だ。世界から見ても汚染水を流すのはとんでもないことだ」と話しました。

(「しんぶん赤旗」2021年4月13日より転載)