新潟県の東京電力柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり重大問題が相次いで発覚するもとで、日本共産党国会議員団は、衆参予算委員会で、原発を運転する資格が問われるとして追及しました。
藤野保史衆院議員は2月25日の予算委員会で、東電の社員が他人のIDカードの情報を書き換えて不正侵入した問題を取り上げ、「原発を動かす資格に関わる重大問題だ」と指摘。原子力規制委員会が不正入室を知らないままに東電に原発を動かす「適正性」を認めたとして、再審査を要求しました。
「尋常でない動き」
また藤野氏は、東電と一体に再稼働を進めようとする政府の責任を追及。新潟県が原発の安全性を検証する委員の半数を退任させようとしている問題や、再稼働を進める経産省幹部らが昨年80回も現地入りしていた実態を示し、「尋常でない動きだ」と指摘しました。藤野氏の質問は衝撃を与え、翌日、地元紙が1面トップで取り上げました。
同原発をめぐって、不正な侵入を防ぐ装置が昨年3月以降、故障し続けていたとして、規制委は今年3月16日に、4段階で最悪の評価をだします。
井上哲士参院議員は同月17日の予算委員会で、東電に対し、「原発を運転する資格そのものが問われている」と厳しく批判。藤野氏は同月18日の経済産業・原子力問題特別委員会の連合審査で、新規制基準による同原発の設置変更許可の取り消しを要求しました。規制委は同月24日、東電が原子炉等規制法に違反したとして是正措置命令を出すことを決定するほどずさんな実態が明らかになりました。
反省ない国の姿勢
一方、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から10年。2月22日の衆院予算委員会で、高橋千鶴子衆院議員は、原発事故による各地の避難者訴訟で、「反省のない国の姿勢が原告を傷つけてきた」と指摘。群馬訴訟で国提出の準備書面が「自主的避難等対象区域に居住する住民の心情を害し…国土に対する不当な評価となるものであって、容認できない」としていることを告発し、「事故を防げず、廃炉の見通しも示せない国に、被災者を非難する権利があるか」と批判しました。
3月11日の参院予算委員会では、岩渕友議員が原発事故の賠償問題で質問。不十分な損害賠償が被害者の生活困窮を深刻にしていると実態を示し、原発事故・避難者訴訟の仙台高裁判決(昨年3月)が認めた「ふるさと喪失・変容」慰謝料を国の賠償基準に加えるよう求めました。
(「しんぶん赤旗」2021年4月5日より転載)