原発施設に核燃料再処理工場、中間貯蔵施設、MOX燃料工場(建設中)と、あらゆる危険な原子力施設を立地する青森県。東京電力福島第1原発事故から10年にあたり、「核燃料サイクル施設立地反対連絡会議」の事務局長の谷崎嘉治さんに話を聞きました。(青森県・藤原朱)
「福島第1原発事故10年 全国世論調査」(日本世論調査会)の結果が6日発表され、「“脱原発”志向76%、安全性への懸念強く」「高レベル処分に不安79%」―と国民が脱原発へ向かっていることが示されました。
10万年の管理
日本原燃の六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)に保存されている高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、隣に人が居ると20秒で即死すると言われます。国は300メートルの地下で東京ドーム100個分ほどの面積に最終処分するとしていますが、10万年の管理が必要とされています。
2008年3月14日の閣議決定で、「平成40年代後半を目途に、最終処分を開始する」としましたが、残り16年しかないのです。
再処理を委託したフランスからのガラス固化体の最初の返還は、1995年4月26日です。日本原燃は青森県などと「50年後の六ケ所再処理工場からの搬出」と約束していますが、残りは24年です。
最終処分法で定められた処分地選定プロセスでは、文献調査2年、概要調査4年、精密調査14年、建設に10年の計30年が必要とされています。
現・三村申吾知事までの3代にわたる県知事が「青森県を高レベル放射性廃棄物の最終処分地にしない」との確約書を歴代大臣と締結。県・六ケ所村・日本原燃との協定もそうなっていますが、約束が破られることは目に見えています。
2016年12月21日、原子力関係閣僚会議は「もんじゅ」の廃止方針を決定。核燃料サイクル事業は破たんしたのですが、核燃料が増殖しない高速炉開発なるものを、突如持ち出してきました。
絵にかいた餅
しかし、頼みの綱としたフランスの高速炉アストリッドの開発計画も中止に追い込まれ、日本の開発は絵にかいた餅となる始末です。
経済産業相が代わるたびに青森県知事が面会に出かけ、国の「核燃サイクル路線の堅持」を公言させる様は、滑稽さを通り越しています。
さらに、プルサーマルの使用済みMOX燃料や、むつ市中間貯蔵施設に搬入する使用済み核燃料を処理するはずの第2再処理工場は話題にも上りません。
東京電力福島第1原発事故10年を経て、最も危険な「核燃料デブリ」をどこに処理するか、現実の問題として浮上しています。「核のゴミ」問題に答えを出せないうちは、一切の原子力施設を動かしてはなりません。また、地震大国日本に原発・核燃施設を造ってはならないことを、原発事故が教えてくれました。
私たちの子ども、孫、その先々の世代への責任を果たすために、全国の仲間と手をつなぎ、原発ゼロ基本法案の成立へ政権交代を実現させましょう。
(「しんぶん赤旗」2021年3月27日より転載)