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いわき市民訴訟 国を断罪・・福島地裁支部 「原発事故回避の可能性」

「国の責任を認める」などの幕を掲げるいわき市民訴訟の原告側弁護団ら=26日、福島地裁いわき支部前

 東京電力福島第1原発事故をめぐり、避難指示区域外の福島県いわき市に居住する住民約1500人が国と東電に対し計約27億円の損害賠償を求めた「いわき市民訴訟」の判決が26日、福島地方裁判所いわき支部(名島亨卓裁判長)でありました。名島裁判長は、国と東電に計約2億円の支払いを命じました。全国で約30ある同種の集団訴訟で国の責任を認めたのは一審では今回で8例目、二審では仙台高裁と東京高裁の2例あります。(関連15面)

 名島裁判長は、2009年8月以降には、福島県沖を含む三陸沖から房総沖にかけてマグニチュード8クラスの津波地震が起こる可能性があるとした国の地震予測「長期評価」(2002年公表)を津波評価に取り込み、これに基づいて対策を取るべきであったのに、「長期評価」を取り込まなかった国の不作為には「その審議、判断の過程に著しい過誤、欠落があった」と判断。

 その上で、建屋への浸水防止工事がされていれば「事故は回避できた可能性がある」と指摘。国の規制権限不行使は「著しく合理性を欠く」として「違法」と断じました。

 東電に対しては、津波対策を講じる義務を怠った点で過失はあるとしつつ、国から対策を指示されなかったから「非難可能性、悪質性は認められない」としました。

 一方、住民の被害については、2011年3、4月の状況を「放射線被ばくによる健康被害の危惧を抱くことが合理的な状況」だったなどとして、「事実上避難を強いられる状況にあった」と認定。しかし、屋内退避区域の住民の損害は同年12月末まで、それ以外の住民の損害は同年9月までしか認めませんでした。

(「しんぶん赤旗」2021年3月27日より転載)