東京電力は柏崎刈羽原発で起きた社員によるIDカードを不正に使用した中央制御室入室に関する原因分析や改善措置についての報告を10日、原子力規制委員会に提出したと発表しました。背景要因として「社員に対する警備員の忖度(そんたく)」があったことなどを挙げています。報告書は核物質防護にかかわるため公開されていません。
この件は、昨年9月に東電の20代社員が自分のIDカードが見当たらなかったことから、無施錠だった同僚のロッカーからIDカードを無断で持ち出し、業務のため中央制御室に入室したというもの。委託警備員や社員警備員は違和感を持ちつつも入域を許し、さらに入域に際し個人認証エラーが出ましたが、社員警備員は、同僚社員のIDカードに20代社員の個人識別情報を登録し直すよう委託警備員に指示していました。
東電によると、報告書では根本原因分析として、核物質防護のための手段の不足や重要性の理解不足、厳格な警備業務を行い難い風土などをあげ、対策として現場にあった登録装置の使用を停止し、認証装置を追加するなどとしています。
規制委は先月10日、この件を理由に同原発の対応区分を通常の状態の「1」から「2(監視領域の軽微な劣化)」に引き上げ、東電に対して改善措置計画などを報告するよう求めていました。
(「しんぶん赤旗」2021年3月12日より転載)