きょうの潮流

 時の為政者の司令塔といえる官邸。その前を、覚醒した市民が異議ありと声をあげる、たたかいの特別な場所に変えました▼出発点は、首都圏反原発連合(反原連)が2012年から始めた金曜官邸前抗議です。掛け声も旧来型のシュプレヒコールから、太鼓のリズムに乗せたアップテンポのコールで「サイカドウ ハンタイ」▼反原連は原発のない社会を望む市民らの運動の基盤となり、再稼働に反対する関西電力本社・支社前行動や原発止めよう九電本社前行動などや各地の「11日行動」が広がりました。9年間も全国で声をあげ続けることで、再稼働ノーの圧倒的な世論をつくりました。全国54基の原発のうち実際に稼働しているのは9基だけ。原発の発電量を全体の6%に押しとどめています▼「もの言わぬ市民がものの言えない社会を生む。官邸前へ、国会を包囲する行動を」。官邸前抗議の経験は、安保法制=戦争法、共謀罪などに反対する市民運動として定着。総がかり行動や市民と野党の共闘につなげました▼「再稼働反対、原発ゼロ」を求める市民と野党の共闘は、野党共同の「原発ゼロ基本法案」に結実。再稼働を認めず全ての原発の運転をすみやかに停止し、廃止する画期的な内容です▼反原連は活動を休止しますが、最後の国会前集会も、あいさつした野党各党議員とのコールは「野党はみんなで脱原発」。決着は、年内にある総選挙です。ゼロ法案を掲げる野党連合政権で未来の子どもたちに手渡したい。原発のない日本を。

(「しんぶん赤旗」2021年3月9日より転載)